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はじめに|6月20日の金融ニュースが話題に
2025年6月20日、楽天銀行と楽天証券が新たに取り扱いを開始した【証券担保ローン】が、静かに投資家界隈で話題となっています。
「楽天銀行 証券担保ローンの取扱いを開始」(出典:楽天銀行)
SNS上では、
• 「低金利で資金調達ができる」
• 「保有株を担保にできるのはありがたい」
• 「これでレバレッジ投資できる!」
などのコメントが一部の富裕層から挙がっています。
しかしながら、この新サービス、誰にでもおすすめできるものではありません。
本記事では、楽天の証券担保ローンについて初心者にもわかりやすく仕組みを解説するとともに、「なぜ慎重になるべきなのか」を徹底的に解説します。
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証券担保ローンとは?|保有株を“人質”にして資金調達
まず、証券担保ローンとは何か。イメージしやすく言い換えると、
「自分が持っている株式を担保(人質)に差し出して、ローン(お金)を借りる仕組み」
ということになります。
◆ 実際のイメージ
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ユーザー「楽天銀行さん、私、楽天証券の口座に100万円分の株を保有してます。それを担保にお金を借りたいんです。」
楽天銀行「わかりました。ですが、株式の時価は変動しますので、担保評価額の60%、つまり60万円までなら貸せます。」
ユーザー「了解です。60万円、ありがたく使わせてもらいます。」
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こんな感じで、自分の持っている株を差し出す代わりに、一定割合のお金を引き出せるという仕組み。
では、楽天の証券担保ローンの具体的な内容を見ていきましょう。
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楽天の証券担保ローンの基本情報
楽天銀行が提供する「証券担保ローン」は、以下のような特徴を持っています。
項目・内容・利用条件
楽天証券&楽天銀行の口座保有+マネーブリッジ設定
担保対象
国内上場株式・ETF(※米国株・NISA・投信などは不可)
借入可能額
担保評価額の最大60%
借入金利
年1.875%〜3.875%
契約期間
6ヵ月(自動更新)
返済方式
自由返済方式(随時返済OK)
資金使途
原則自由(※一部除外:証拠金・保険料・事業資金など)
楽天の金融エコシステムを利用しているユーザーには使いやすいサービスに見えますが、ここに大きな落とし穴があります。
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なぜ一部のお金持ちが注目しているのか?
一部の投資家は、この証券担保ローンを「レバレッジ投資の武器」として活用しようとしています。
例えば、1億円分の株式を楽天証券に保有している人が、評価額の60%=6000万円を借りて、年利4.5%の米国債に投資したとします。
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◆ 試算してみると…
• 6000万円の米国債(年利4.5%) → 年間利息:270万円
• ローン金利(仮に2%) → 年間利息:120万円
• 利益:270万 − 120万 = 150万円の不労所得
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このように「借りたお金より、運用で得られる利回りの方が高ければ儲かる」というスキームです。
だからこそ、お金に余裕がある一部の人たちは「資産形成のツール」として利用を検討するわけですね。
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でも、一般人にはおすすめできない理由
一見おトクに見える証券担保ローン。しかし、ほとんどの人には向いていません。
その最大の理由は、リスクが非常に高いからです。
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代表的なリスク①|株価下落による担保不足
借入金は「担保評価額の60%」ですが、担保である株価が下がれば、担保価値も下がります。
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例:
• 株価100万円 → 60万円借入
• 株価が80万円に下落 → 担保評価額48万円(=80万円×60%)
• 担保不足が発生 → 「追加担保の差し入れ」を求められる
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これが進むと、「担保株の強制売却」に発展します。
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代表的なリスク②|強制売却で損失確定
さらに株価が下がると、銀行側が自動的に担保を売却して資金を回収します。
その結果どうなるか?
• 含み損が「確定損失」になる
• 株がリバウンドしても恩恵を受けられない
• 市場から“強制退場”させられる
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強制売却は「大きな損を確定させる最悪の展開」です。
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代表的なリスク③|金利上昇&運用失敗
もし借りた資金で運用した先(例えば債券など)が値下がりすれば?
• 債券価格下落で、損失発生
• 借入金利が上昇して、返済負担UP
• 運用も失敗、借金返済も重くなる「ダブルパンチ」
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このように、借金を元手にした投資=レバレッジ投資は非常に難易度が高いのです。
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結局、証券担保ローンは使うべき?
結論から言うと、以下のような人にしかおすすめできません。
◯ 使っても良い人
• 多額の株式を長期保有している富裕層
• 市場の値動きや金利の仕組みに精通しているプロ投資家
• 最悪の場合の「強制売却」を受け入れられる人
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✕ 絶対に使うべきでない人
• 貯金が少ない
• 投資経験が浅い
• 証券担保ローンの仕組みが完全に理解できていない
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証券担保ローンは、「うまく使えば便利」ですが、「失敗すれば即破産コース」。まさに諸刃の剣です。
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まとめ|証券担保ローンは“知識と余裕のある人向け”
楽天銀行と楽天証券が開始した「証券担保ローン」。
たしかに、
• 低金利
• 柔軟な使い道
• 保有資産の有効活用
といった魅力はあります。
しかしその裏側には、
• 担保不足リスク
• 強制売却の恐怖
• 投資運用失敗のダメージ
といった致命的なリスクが潜んでいます。
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✅ 最後にひとこと
このローンを「新たなチャンス」ととらえるか、「危険なバクチ」ととらえるかで、あなたの金融リテラシーが問われます。
「儲け話」の裏には、必ずリスクがある。
それを忘れず、冷静な判断をしていきましょう。
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