はじめに|災害時の「最後の避難所」になる車中泊
南海トラフ地震や首都直下地震など、いつ起きてもおかしくない大規模災害。避難所に入れない、家が損壊して住めない、感染症が不安…。そんなとき、「車中泊」が命を守る選択肢になることがあります。
しかし、ただ車で寝ればよいわけではありません。正しい知識・装備・準備がなければ、体調を崩したり命に関わる事態にもなりかねません。
本記事では、防災士の視点から「災害時に本当に役立つ車中泊の準備」について徹底解説します。
なぜ「車中泊」が防災として注目されるのか?
✔️ 避難所に入れない・入りたくない人が多い
- ペット連れで入れない
- 感染症(コロナ・インフル)対策として距離を取りたい
- 小さな子どもや高齢者への負担が心配
車中泊はこうした問題を解決し、**「自分たちのペースで避難生活ができる」**選択肢となります。
✔️ 実際の災害でも多数が車中泊を選択
- 2024年 能登半島地震では10,000台以上の車両避難が確認されました。
- 熊本地震や東日本大震災でも、避難者の1~2割が車中泊をしていたというデータも。
車中泊に必要な準備とは?|最低限そろえたい防災グッズ
① 快適な睡眠環境を作るアイテム
- 車中泊マット or エアマット
→ 車の段差・凸凹を軽減し、腰痛を防ぐ - 寝袋 or ブランケット
→ 季節・気温に応じた断熱・保温対策は命に関わる - 目隠し(サンシェード・アルミ保温シート)
→ プライバシー確保+断熱効果も
② 電源・明かりの確保
- モバイルバッテリー(大容量)
→ スマホ・LEDライト・USBファン用に - LEDランタン・ヘッドライト
→ 停電時の室内灯・夜間の移動に必須 - ポータブル電源(防災兼用)
→ 小型家電の使用や複数回充電にも対応可
③ 食料・水・トイレの確保
- 非常食(アルファ米・缶詰・レトルト)
→ 火が使えなくても食べられるものを - 飲料水(2〜3日分/1人1日3L目安)
- 携帯トイレ or 車載用ポータブルトイレ
→ 渋滞中・災害時のトイレ問題は深刻 - ゴミ袋・防臭袋
→ 廃棄物管理も車中泊生活には重要
④ 衛生・健康管理アイテム
- マスク・アルコール消毒・ウェットティッシュ
- 着替え・タオル・使い捨て下着
- 常備薬・絆創膏・虫よけスプレー
- 簡易シャワー(あると快適)
見落としがちな“リスク”とその対策
🔺 エコノミークラス症候群(血栓症)
- 足を動かさず長時間同じ姿勢でいると、血栓ができ命の危険も。
- 対策:
- こまめに足を動かす(屈伸・マッサージ)
- 水分補給を怠らない
- 車内でもストレッチの習慣を
🔺 一酸化炭素中毒
- 車内暖房や発電機使用時に換気が不十分だと危険。
- 対策:
- エンジンをかけるときは定期的に換気
- 排気口の雪・泥詰まりに注意
- 一酸化炭素チェッカーを備えると安心
🔺 防犯対策
- 女性や子どもだけの車中泊では不安も多い。
- 対策:
- 見通しの良い、明るい場所を選ぶ
- サンシェード・施錠確認の徹底
- 緊急時通報アプリや防犯ブザーの準備
【車中泊×防災】おすすめの使い方&シミュレーション
📦 非常持ち出し袋とは別に「車載専用防災セット」を!
- 家に置く防災袋と車専用の備蓄品は分けておきましょう。
- 長距離避難・災害派遣・渋滞対応など、車中泊は災害の初動対応でも有効です。
🔁「車中泊訓練」をしておこう
- 月1回、家族で駐車場で“車中泊ごっこ”をするだけでも、防災教育になります。
- 暑さ・寒さ・荷物の置き方・寝心地など、「やって初めて分かること」がたくさんあります。
まとめ|“動く避難所”を持つ安心感を
災害時、避難所に頼るのは当たり前のようでいて、実は制約が多く、不安も大きい選択肢です。
一方、車中泊は「移動できる」「感染症リスクを減らせる」「自分の空間を確保できる」などのメリットがあります。
いざという時、命を守るのは“普段の備え”です。
- ✅ 車に非常セットを常備
- ✅ 家族と車中泊シミュレーションを共有
- ✅ 快適&安心な避難生活をイメージして準備
あなたの車は、もしもの時の“動く命綱”になります。
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